熱帯魚の飼育環境を整えるため、ヒーターは欠かせない機器だ。いくつかタイプがあるため、ざっと情報をまとめつつ今回の水槽のベストチョイスを決定したい。
Ⅰサーモスタットとヒーター
水温を一定に保つため、必要なのが、サーモスタットという「温度を見張るセンサー」と「ヒーター」である。ヒーターとはその名の通り、水を温めるだけの機能を持つ。したがって、どちらか一方揃えればいいというのではなく、水槽には、水温の見張り(サーモスタット)と、水そのものを温める機能(ヒーター)の二つを組み込まなくてはならない。また、この手の機器は消耗品である。マニュアルには1年ごとの交換を推奨されているため、トータルコストも考えねばならない。
最近はサーモスタットとヒーターが一体になったものなど、便利なものが普及してきている。両方使用した印象は次の通りだ。
1、サーモスタットとヒーターが一体になったタイプ
これは、いままでの30センチ水槽に使ってきたもので、水温の設定はできず、水温25℃前後固定で維持してくれるものが多い。比較的小型水槽に多く用いられるようだが、一体型とあって、交換時にトータルコストは高くつきそうである。
2、サーモスタットとヒーターが別々になったタイプ
こちらが旧来からある組み合わせになる。サーモとヒーターが別々になっているので交換時にはヒーターだけ取り換えれば事足りる。ヒーターもサーモの許容量の範囲で水量に応じて増設できるのと、サーモスタットにはほとんどのものに水温の調整ツマミがついており、水温の微調整も可能にしている。
これまでの30㎝水槽であれば、はっきりいって、一体型のほうが管理が楽であったと感じる。小さい水槽にサーモとヒーターの配線がごちゃごちゃするのも美観的にもすぐれない。
もちろん今回の60センチワイドロー水槽には、水量が多く、多少容量の大きなヒーターが必要になることと、ヒーターそのものにこだわってみたいと思ったため、サーモとヒーターは別々のものを選んだ。
Ⅱヒーターの容量の目安について
ヒーターは当然水量にあわせて、そのワット数を考慮しなければならない。だいたいの目安は、水量30~40リットルに対し100ワットのヒーターを用いる。
水槽種類 | 水量 | 必要ワット数(標準的地域) |
---|---|---|
30cm水槽 | 10~20リットル | 50ワット |
45cm水槽 | 20~40リットル | 100ワット |
60cm水槽 | 60リットル前後 | 150ワット |
90cm水槽 | 150リットル前後 | 300ワット |
もちろん、これは日本の標準的な気候の地域の場合だ、寒冷地や温暖地によっては、また、水槽を置く場所によっても若干の調整が必要だろう。
Ⅲヒーターの安全性について
ヒーターは、水中にあってその感覚が鈍るのだが、十分な「火の元」である。したがって、その安全性には気を配りたいところ。実際に、水槽周りの設備が運悪く火事に至った例もあるくらいなのだ。たとえば、ヒーターが何らかの原因で水中から出て、空炊きになること、水槽の水が電源周りに散ってショートすること、あるいは、コンセント周りのトラッキング現象(コンセントの金具に長年ホコリがたまり発火する)などである。
ことヒーターについていえば、最近は、複数の安全装置を持ち合わせていることが多い、万一、水中から出たときに通電をストップする仕掛けや、プラグ自体にトラッキング防止対策が取られていたり。そして、何よりも安心できる商品については、観賞魚用のヒーターの安全性を高めるために設定された「統一安全規格」のマークが施されている。
統一安全規格とは「観賞魚用ヒーター安全対策協議会」といわれる、ヒーターを製造している企業によって設立された組織が、ヒーターの安全性を高めるために制定したもの。内容は以下のようなものだ。
■統一安全規格内容
- ヒーター表面温度:空気中で400℃以下
(400℃=紙が自然発火しない温度) - ヒーターカバーが一体化されている場合は、カバー表面の温度が空気中で400℃以下にする。
- ヒーターカバーが空気中で溶解し、ヒーター管が露出しないものとする。
- 樹脂カバーを使用する場合は、難燃剤(UL-94のV-0材相当)を使用する
この規格を満たした商品には、協議会が定める「安全基準適合マーク」をつけることができる。
ヒーター表面は樹脂プラスチックによりひだ状になっている。これが表面温度を下げる働きをしているのか。
ということで、今回のヒーターについては、多少割高になるものの、安全基準適合マークのついた製品を購入することとした。
Ⅳヒーターは消耗品
もちろん水中で使用するヒーターは消耗品と考えるべきだ、しかも比較的、新商品のサイクルが早いので、買い替える際は様々な商品を比較する必要がある。
コメント